■ 願いは？

あなたが落としたのは金の斧？　それとも銀の斧？

いいえ。
私は何も落としていません。


何をしたいのかは分からないから、
だから、このままを続けるというのもどうかと思うのだけれども、
けれど、
その方がいいと言う先達が多いのだから、それが正解なのかも知れない。

けれど、
時に、矛盾を感じるのだ。
こんなにも疲れて身体を壊しているのに、
笑い続けて何が楽しいのだろう、と。
クレームを付けられて、
それでも笑って、身体を考えて、そこから僕は何を得ているのだろう。


期待されてその期待に応えるようにしか歩いてこなかった。
きっと期待なんてされていなかったのだと思う。
けれども、
失望されないように歩いてこれたと思う。
だから、
だから少し疲れてしまったのだと思う。
けれど、
なのにまだこの細い両肩には重く圧し掛かる人たちが居るのだ。
どうして
振り払えないのだろう。
稀に
もう居なくなってしまえばいいのに、と思うのに。
もう居なくなってしまえればいいのに。
そうすれば
きっとあの人たちも僕も幸せになれるのに。

どうして。
どうして我侭になれないのだろう。

明日もきっと清潔に笑うのだと思う。
笑顔はとても得意だと思う。
知らぬ間に、
見知らぬ人に笑いかけるのが上手になってしまっていた。
そんな顔が、けれど本当は余り好きではないのだ。